認知症と責任(2016.3.2-17面オピニオン)

  
認知症の男性が線路に立ち入り死亡した際の損害賠償をめぐる裁判で、最高裁は「遺族に賠償責任はない」という判決を下しました。

この件に関して、今日の朝日新聞では、1面、2面、社説、オピニオン面「耕論」、判決要旨、社会面と、大きく紙面を割いています。テレビの報道番組や情報バラエティ番組でも放送されていたので、この判決が持つ意味と影響が大きなものだということがうかがい知れます。

関連記事の中では、オピニオン面の「耕論」(1つのテーマに沿って、専門家たちがそれぞれの知見を述べる記事です)が興味深かったです。

自身も認知症の夫の介護経験を持ち、講演活動を続ける佐野さんの、より具体的で実践的な認知症との関わり合い方、踏切事故などの、事故調査制度論を専門分野とした大学教授の、事故防止のための具体的なハード面の整備などの提言、さらに法律面から、大学院教授が、賠償責任について知見を述べています。

さらに、隣のページの社説では、社会全体の問題として、環境づくりや国のあり方について書かれています。

今回の裁判だけに焦点を合わせれば、遺族や、認知症介護をしている方々の実情と心情に配慮した判決だったと思いますが、こうして「耕論」や社説など多角的な視点で読み解くと、今後、日本が向き合うべき課題が浮き彫りになっていきます。新聞、テレビで報道され、意識が高まっている今こそ、社会全体の問題として取り組んでいくべきではないでしょうか。

佐々木敬太郎