ふるさと納税、いい?わるい?(2016.3.19-15面 オピニオン)

今日のオピニオン面「争論」では、「ふるさと納税」に関して、賛成・反対それぞれの意見をならべて掲載しています。

ある自治体に寄付した分、地元への納税を減らせる「ふるさと納税」が急増しており、政府は企業の寄付にも拡大するといいます。生き残り策に悩む地方には見逃せない財源ですが、「お返しの品」をめぐる競争が過熱し、ひずみも出てきているとのことです。

紙面右側の北海道上士幌町長(賛成の立場)からは、自治体の財源を確保しなくてはならない切実な状況がよくわかりますし、創意工夫を持って、自らの町のファンを創る足がかりとしようという意気込みが伝わります。

一方、紙面左側のまちづくり専門家は、反対の立場から、「あくまでふるさと納税は臨時収入、その臨時収入の獲得競争に明け暮れ、本来取り組むべき、人口減少に合わせた効率的な行政を創るという宿題を先延ばしにしている」と厳しい指摘をし、制度の早急な見直しを提言しています。

「ふるさと納税は、いろいろなものがもらえるし、財政が厳しい自治体の助けになるのであれば」という感覚しかなかったので、特に反対の立場の意見を読み、「なるほどそういう見方もあるのか」と、視野が広がった気がします。一時的なカンフル剤で根本的な解決策ではないということですね。確かに、今振り返ると、返礼品の中には電化製品など「なんで?」みたいなものも見られ、違和感を感じていました。

双方の意見は、それぞれの立場から納得できるものですし、どちらのほうが正しいか、そう簡単にはっきり白黒つけられる問題ではないと思います。ただ、まちづくり専門家の木下さんの最後の言葉が、これからの道筋のヒントになりそうな気がしますので、紹介したいと思います。

「これからは、地域が発想と行動を競う時代です。地域産業は生産性を高めて稼ぎ、行政は人口減少に持ちこたえる設計に変えていく必要があります。地方振興の本筋は、地域産業を伸ばし、自治体経営を見直し、地方分権を進めることです。ふるさと納税などではなく、本筋に戻り、国と地方は政策と、民間は事業と向き合ってほしいと思います。」

佐々木敬太郎